PixInsightでのLRGB+Ha合成に挑戦(備忘録)
最近はカラーCMOSカメラでの撮影が多く、LRGB合成からしばらく離れていましたが、以前からの課題だったPixInsightでのLRGB合成に挑戦してみました。今回の処理は、正確には「LRGB+Ha合成」になります。
【使用機材】
- 望遠鏡:Takahashi Mewlon300CRS
- カメラ:Bitran BJ-73M
- フィルター:Astrodon LRGB・Ha
- 露出時間:
- L:300秒 × 42枚
- R・G・B・Ha:各300秒 × 4枚
【処理手順】
1. L、R、G、B画像のWBPP処理
L、R、G、Bそれぞれの画像について、**WBPP(Weighted Batch PreProcessing)**を使用し、DarkとFlat補正を行って合成します。ここは比較的簡単なステップです。
2. Ha画像の合成
Ha画像の合成は少し厄介で、通常の処理ではうまくいかないことが多いです。主な原因は露出不足だと考えていますが、WBPP内のパラメータ設定を調整することで改善可能です。
今回は、WBPPの「Light」セクション内にあるImage Registrationのオプションパネルを開き、「Noise Reduction」の値を0から5に変更することでうまく処理できました。
3. RGB合成前の準備
RGB合成の前に、各RGB画像の位置合わせをStarAlignmentで行います。
この段階では画像はまだリニア状態のため、ここでLRGB合成を行ってもうまくいきません。PixInsightではLab色空間を使用して合成するため、L画像にRGBを単純に重ねても失敗しやすいです。
MaxImDLやステライメージを使っていた頃も、毎回試行錯誤しながらパラメータを調整していました。
4. ヒストグラム調整(非リニア変換)
HistogramTransformationを用いて、L画像とRGB画像の明るさや階調がなるべく近くなるように調整し、非リニア画像に変換します。
その後、再度StarAlignmentで位置合わせを行い、やっとLRGBCombinationで最終的なLRGB画像に合成します。
5. バックグラウンド補正
LRGB画像に対して**DynamicBackgroundExtraction(DBE)**を使用してバックグラウンド補正を行います。
Ha画像についても、同様に別途DBEで補正します。
6. Ha画像の追加合成
補正済みのHa画像を、NBRGB Combination Scriptを使用してLRGB画像に追加合成します。ここでもStarAlignmentによる位置合わせが必要です。
7. 星像の改善とノイズ処理
合成後の画像をBlurXTerminator(BXT)で処理し、星像を改善します。続いてStarXTerminatorで星を分離し、それぞれにMorphologicalTransformationとNoiseXTerminatorを使用して星像の調整とノイズ除去を行います。
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8. 最終合成と仕上げ
最後に、PixelMathで再度合成を行い、Photoshopなどを使用して最終的な仕上げを行いました。
以上が今回のPixInsightによるLRGB+Ha合成の流れです。これまでの経験も踏まえて、処理手順の最適化ができたと思います。今後の参考になれば幸いです。
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